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光触媒

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更新日:2020. 9. 21.

酸化チタン光触媒-実用化のいきさつ

先に書いたように、酸化チタンが光触媒になること、およびその光触媒作用の仕組みは1950年代から知られていました。それではなぜ最近まで光触媒が実用化されることがなかったのでしょうか。その理由は、「触媒」というものに対する考え方にあると思われます。
通常の触媒は、ほとんど化学工業に使われています。新しい化学製品を作ったり、旧来の化学製品を安価に大量につくることに使われます。したがって、触媒というものは、ものづくりの道具であり、大量の物質を処理するものという考えがありました。
酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物に光が当たると、酸素の吸着が起こったり、酸化反応が起こることは、おそらく1950年以前から知られていたと思われます。そのような現象が光触媒反応と呼ばれ、その仕組みが研究されるようになったのは、1950年代に入ってから、おもに触媒化学の研究者たちによってでした。
その当時の光触媒の研究は、まったくの基礎研究であり、実用化などは考えられもしませんでした。筆者にしても、学生時代から酸化チタンが光触媒になることは知っていましたが、光触媒の研究は”もの好きな研究”としか見えませんでした。その理由は、①効率(量子収率)が悪いことと、②紫外光しか使えないことから、触媒としての資格がなかったということです。言い換えれば、大量にものをつくることには向いていなかったからです。
しかし、酸化チタンには強い光酸化力があり、室温で有機物を完全に酸化することができます。これは、通常の触媒にはできないことです。少量の物質、とくに有害な物質を完全に分解する目的なら実用になるかもしれないと考えた人たちが、1980年代後半に現れました。要するに、発想の転換です。その実用化研究の中で、新たに防曇・防汚機能(超親水性機能、後出))が発見されました。そして、今日の光触媒の隆盛を迎えたわけです。この辺の詳しいいきさつは、ながくなるので別の章に書くことにします。
それでは、酸化チタン光触媒の仕組みについて見てみましょう。

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