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光触媒

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更新日:2016. 12. 11.

活性酸素の種類と酸化力

活性酸素という言葉を理化学辞典(岩波書店)で引いてみると、次のようなことが書いてあります。活性酸素には原子状態の酸素(O)と酸素分子の準安定状態(たとえば一重項酸素)がある。さらに生化学ではスーパーオキシドアニオン(・O2-)、ヒドロキシ(水酸)ラジカル(・OH)、ペルヒドロキシラジカル(・O2H)をも含め活性酸素と総称する。ここで一重項酸素とは、酸素分子(三重項状態)の電子励起状態です。触媒や光触媒では活性酸素は吸着していますから、このような電子励起状態はできません。
このように、原子状酸素は理化学辞典にも載っているほど一般的であるにもかかわらず、光触媒の研究をしている一部の人たちは認知していません。それはともかくとして、酸化チタンに酸素中で光を当てると、その表面に活性酸素ができます。どのような種類の活性酸素ができているかは、ラジカルを測定できる電子スピン共鳴(ESR)という装置を使って測定できます。
これまでの測定により、酸化チタンの活性酸素として、O-(原子状酸素)、O2-、O3-が見つかっています。これらの活性酸素のマイナス電荷は、酸素の電気陰性度(電子を引きつける力)が強いために、酸化チタンから電子が移行したものです。これらの活性酸素は、通常の触媒でも見つかっています。(触媒入門参照)
これらの活性酸素の酸化力は、一酸化炭素と反応するかどうかを調べればわかります。原子状酸素O-は-200℃近い低温でも一酸化炭素を酸化できるので、もっとも酸化力が強いことがわかります。その次に酸化力の強いのはO3-です。O2-は一酸化炭素を酸化できませんが、酸化されやすい有機物は酸化できます。(触媒入門参照)
なお、O3-は酸化反応中にはできません。なぜならば、O3-はO-と分子状酸素が反応してできますが、反応中はO-がすべて酸化に使われてしまうからです。
私たちのまわりにある汚れや臭いの成分は、ほとんど有機物です。したがって、完全に酸化してしまえば二酸化炭素と水になります。酸化チタン光触媒は、たいていの有機物を完全酸化できます。これは、活性酸素として原子状酸素ができるためであり、O2-など他の活性酸素では有機物の完全酸化はできません。
細菌や病菌も有機物ですから、それらの表皮を酸化して分解し、殺すことができます。大気汚染物質である窒素酸化物も酸化して硝酸にすることができます。
しかしながら、光触媒は大量の物質を処理することはできません。なぜならば、活性酸素ができる効率(量子収率)が低いからです。

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